新・タイ佛教修学記

特別な現象を求めてはいけません

 

「特別な現象を求めないこと」

 

これは、瞑想修行の際には、常に気をつけておかなければならないことです。

 

なぜなら、誰でも陥ってしまいがちなことだからです。

 

 

特別な現象とは・・・

 

例えば、光を見る、ブッダの姿を見る、などといったようなある特定の「何か」を見ることや、瞑想による例えようのない快楽や快感を得る、などといった心身現象のことを言います。

 

おそらく、「瞑想」に興味を持つ人の多くは、少なからず(たとえ無意識であったとしても)こうした特別な現象や特別な力を得ることを求めている部分があるのではないでしょうか。

 

 

私にだって全くそうした気持ちがないかと言えば、そうではなくて、瞑想修行に励むからには、何かしらの成果や実感を得たいと思っていました。

 

できれば、特別な何かを得たり、衝撃的な体験をしてみたいとも思っていました。

 

そうでなければ、何のために瞑想をやっているのかがわからない、修行に励む甲斐がないではないかという思いさえも持っていました。

 

一応は、大学で仏教の教義・教学を学んできて、仏教の基礎を理解しているつもりではありますが、そうは言っても、やっぱり私にも特別な何かを求める心はあります。

 

 

瞑想をすれば、特別な何かが得られるかもしれない。

 

修行をすれば、特別な境地に達することができるのかもしれない。

 

そんな淡い期待感があったのです。

 

 

しかし、実はこのように考えること自体が落とし穴です。

 

そのあたりには、特に気をつけて瞑想修行に臨まなければなりません。

 

 

ある瞑想指導書の一文を引用します。

 

『実践において、「特定の心身現象」を求めることは、極めて危険なことである。なぜなら、ある一定の指向に執着することとなり、もっと長く、もっと遠くに、といった欲動が働いてしまうからである。

「特定の現象」を得たとすると、その時に~この実践は簡単なものである~と少なからぬ驕慢さが生じて、その後の実践が怠慢になってしまう。これは、実践の退行であり、まったく無益なことである。つまり、~真の覚醒に到達しえない~

修習者(瞑想実践者)が性急になり、自分の能力以上のことをしようとすると、かえって実践の進歩が阻害され、苦しみ、憂い、失望、疲労が生じ、修行実践に迷いが生じてしまう。

また、「こんなに努力しているのになぜ結果が得られないのか」といった疑いも生じ、途中で修行を投げ出してしまうことにもなりかねない。

真の習修者は「特定の心身現象」を求めることなく、いつも意識を中立の状態に保つよう努力し続けている。』

 

※『ウィパッサナナー瞑想・修習の導き』
  ウィウェーク・アーソム ウィパッサナー瞑想センター 2002年 より引用

 

 

仏教の瞑想は、「特別な心身現象」を得ることが目的なのではありません。

 

また、超常現象や超能力を身につけることが目的なのでもありません。

 

 

光を見るために瞑想するのでしょうか?

 

超能力を得るために瞑想するのでしょうか?

 

心地よい感覚を得るために瞑想するのでしょうか?

 

 

それらは、全て仏教が目指すところではありません。

 

ものごとを客観的に観る智慧と、全ての事象の生滅変化を観察していく智慧を得るために瞑想するというのが仏教の瞑想であり、さらには仏教そのものの目的です。

 

 

とは言え、実際の瞑想修行のなかでは、様々な心身現象と出会うことがあります。

 

光を見ることもありますし、ブッダの姿を見ることもあり得ます。

 

とてつもなく心地の良い感覚や喜びに満ちた感覚に襲われることもあるそうです。

 

よくよく心得ておかないと、私は悟りの境地に達したのだ、私は超能力を得たのだ、私は人とは違う体験を得たのだ、これこそが悟りなのだ・・・と思い込んでしまうことがありますので要注意です。

 

これは、とんでもないことです。

 

 

たとえ、どのような心身現象に出会ったとしても、それらは単なる「事実」としてのみ受け止めて、決して自分自身による勝手な解釈を加えてはなりません。

 

自分自身が出会ったひとつの現象としてだけとらえていかなければなりません。

 

どこまでも自分自身を客観的に観ていかなければなりません。

 

 

ここが瞑想修行における最も重要な部分であり、かつもっとも危険な部分であると言えます。

 

また、もっとも誤りやすい部分でもあります。

 

 

ここに正しい『師』(先生・瞑想指導者)について瞑想を学ぶことの重要性があります。

 

 

(『特別な現象を求めてはいけません』)

 

 

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